ごぶさたしています。ずっとツィッターに張り付いているのですが、先が見えない原発災害の中、諦めムードと「殺気立ちムード」が交互に世の中に流れているような気配をつかみ、その読みに反応してツィートを調節しています。すべてが落ち着いてからならば、一連のパニック買いや自粛ムードを愚かなことだと振り返ることもあるでしょう。でも今は真っ只中なので何をどう言っても、それがどこかで誰かの次の不安をトリガーするという妙な循環に社会が陥っています。一種のハウリングですね。
モーリー自身も不安を感じているので、ことさら敏感になる人たちの気持ちもわかる。そこで今はとりあえず刺激の少ない方向に合わせておいて、後日徐々に言いたい放題に持って行こうという感じです。知り合いの間ではとくに配慮しませんが、
「やっぱり日本は住めなくなるんですか?」
と真顔で聞いてくる方がいる今は、そーっとね。
ヨウ素-131→半減期が短い セシウム-137→数十年 Pu→人類史
しかしプロメテウスが火を盗んでものすごい罰を受け、人間が刃物を使えるようになってから短い間に何もかもが激動してきたということを今回の災害で実感しました。ポンペイをあっという間に葬った火山の噴火も身近に感じています。20世紀の歴史が一番大きいこととして日々教育されてきましたが、実は短い期間に類似したサイクルを反復してきたのかもしれません。
日本に住めなくなるのか?直感で言うと、関東も含めて住めると思います。ただ、それを判断するためのデータが出てからでないと判断は不可能。様子を見るしかありません。そしてまた情報が出てくるのが全体に不透明で、遅いという印象も。ねえ。
退屈したのでイギリスのセラフィールド原発を調べました。日本語で検索すると、かなり思想がかったさまざまな団体の翻訳論文がいっぱい出てきます。英語中心に検索して回ったら、Wikipediaの
エントリーにすっごく詳しく書いてありました。当初は第二次大戦後に核兵器を作るためのプルトニウム生産施設としてスタート、その後民間の電力グリッドにも接続という歴史があります。1957年に大規模な事故が起こり、飛散した放射性物質の放射能はざっと「750テラベクレル」だったそうです。10の6乗がメガベクレル、そのさらに6乗、つまり10の12乗ベクレルです。そんなに大量に飛散したらmegadeathじゃないか、と勘ぐるのですが毎日新聞の
記事には
放射性物質を含む廃水の流出では、英国のセラフィールド再処理工場周辺で70年代をピークに廃液が海に放出された例がある。80年代、周辺住民に小児白血病の発生率が高いとする論文が発表された。英政府は「白血病発生率の増加は見られるが(流出した廃液中の)放射性物質との因果関係は不明」としている。再処理工場からの流出は90年代以降は100分の1以下に抑えられている。
とあります。ふーん...?隠蔽?それとも本当に「それほど」じゃなかった?いずれにせよ、エビ、タラ、カレイの宝庫であるアイリッシュ海にかなりの長期間に渡って放射性物質を含む廃液を海に流し続けてきました。今はピークとなった70年代の100分の1以下。朝日新聞の
記事にはこうあります:
海洋汚染が発覚した80年代以降、付近の海岸は一時立ち入り禁止になっていた。放射性を帯びた溶液漏れ事故もしばしば起き、運営会社による事故隠しも浮上。批判が高まった。
そのつど英政府は「健康に影響はない」と説明したが、アイリッシュ海がつながる北海に面したノルウェー、アイスランドは海産物の汚染を心配し、操業停止を求めている。特に対岸のアイルランドは毎年、魚介類などの放射能を測り、漁民の健康調査をしている。
こちらでも風評被害は起きており、フィッシュ・アンド・チップスの有名店が「アイリッシュ海の魚は使いません」と張り紙を出したこともあったそうです。この一連の情報を眺めていて、今と繋がっている事象が確認できて少し心強くなりました。現在進行形のリスクは未確定であり、ロシアの専門家は「チェルノブイリよりひどい」とすでに前のめりに主張しています。ただ、だいたいどういう結末になるかが占える事例を見たような気がしました。
そんな中、都内のスーパーに深夜行ってみると、けっこう食料の流通が回復しているとの手応えでした。マイナー流通も含めた牛乳の山。ごった煮などのクリエイティブなおかず。小学校の給食で見たことがあったような菓子パンのアップグレード版。JR復旧間近の報せと合わせて、スーパーでこれほどありがたみを感じたのは久しぶりでした。海外住まいで久しぶりに日本に来て、野菜天ぷらやほたてクリームコロッケ、魚のアラ、冷凍のほうれん草を見て回るような。どこに幸せがあるのかを言葉にならないレベルで感じとったようでした。1割引のカレーパンにも手が出ました。
これから新しい社会を創っていく必要があります。物々交換や手作りも含めてあらゆるオプションを除外せず、文明を一からつくり直すような思い切りも求められるでしょう。その一方でこの災害をまったくハンドリングできなかった民主党が国民の怒号のうちに失脚・解党し、かつての社会党と同じ運命をたどり、ポピュリストな政権がその後に続いたような日本も想像できます。もしかしたら右派・にわか政権が強引に原発の稼働率を上げてそれがまた次の紛糾を生み、経済復興かエコロジカルな我慢かの二者選択という乏しさに陥る時期も。何が来るかは勘ぐりの領域を出ませんが、要するにポンペイの時代からそれほど人々はパワーアップしていなかったことがばれてしまいました。ロボット・ヒーローがいかに大切な偶像だったかも、今になって理解できます。謙虚に行こう。
で、太陽光や風力や洋上風力、メタンハイドレート、ガスで本当に行けるのかな?行けるといいな...的な祈りを込めつつ、「i-morley」のギャザリングな新シーズンに期待しています。ご参加ください。