なぜエジプトは日本に関係あるのか?

リテラシーが高い人にとって自明に思えるこの問いがツィッター上で相次いでいます。逆説的に見れば、これまで中東(もしくは海外)を意識したことのない人たちにもニュースがスピーディーに伝わっていることの表れかも知れません。そこで、エジプト情勢と日本のつながりを以下の連続Twから書き起こしました。


BBC:英首相 ミュンヘンの安全保障会議で「英国の多文化主義は失敗だった。イスラム原理主義など、極端な思想の温床とならないよう、英国民としてのアイデンティティーを強化していかなくてはならない」と演説 野党議員やイスラム系英国人団体は反発 http://see.sc/lkkdDF

「エジプトの問題がどう日本と関係するのか?」という素朴な次元で疑問を感じておられる方に向けて、これからエッセイを書きますが、その枕として↑の記事を引用しようと思います。日本は少子化が進み、間違いなく移民・定住者をさまざまな名前を付けて招き入れることになるでしょう。多文化の国へ。

これは日本を活性化するのか?それとも今までの日本を破壊するのか?中国の属国へとなし崩しになっていくのか?日本人がチベット人やウイグル人のように「少数民族」の扱いを東アジアで受ける可能性があるのか?想像は果てしなく広がります。ですが、多文化・多様化はあっという間で進みます。

そもそもチュニジア・エジプト情勢が起きることをまったく予想しない状態で「Groove Japan」プロジェクトを始めましたが、テーマの同時性が色濃くなってきました。価値観の違う人たちがそれぞれ、幸せを追求するためには同居・共生をしなくてはならない。

しかし現存のルールはもしかすると過去の植民地支配、資本主義、グローバリズムなどのしがらみに引きずられ、けして良い解決策を生み出すことはできず、また新たな「テロとの戦争」という無限の争いを引き起こすという構造になっているのかもしれない。つまり価値観に世界性がないのです。

それを乗り越えて、お互いに違う、だけど限定的には分かり合える、そして共鳴し合える部分を楽しむことができれば、それが普遍性を帯び、固有性・単一性と多様性の間にブリッジを造れるのではないか?それが「Groove」というキーワードに秘められた願いです。

日本人と結婚した外国人が離婚の末、親権を失ったことを報じるBBCの記事も出ました: http://see.sc/cqB8gk 「問題は日本の法制度」という締めくくりになっていますが、これは世界中の国で進んでいる異文化混合から出現する諸問題の片鱗と見ることも出来ます。

さきほど入ったスーパーのレジには100パーセント中国の若者が立ち、日本語で受け答えを行い、誰もいないときには中国語で私語、という二重基準で働いていました。日本の「二重化」もひたひたと進んでいます。ずっとそれに向き合わず、ある日突然、拒否反応を起こしてしまっても遅い。

移民が良いことか、果てはその移民に外国人参政権を与えるべきかどうかは、きっと誰も断定的に結論が出せません。他の国でうまく行ったケース、うまく行かないケースが多数あり、研究するしかありません。ですが「議論してもいけない」というのでは、例の「認識格差」がひたすら広がるばかりです。

エジプトで、道理にかなった要求にしか見えない民衆の声を、なぜ欧米諸国の政府は素直に聴けないのか?なぜそこに「テロリスト養成所」「第2のイラン革命」の幻影を見てしまうのか?これは遠いところで起きている滑稽な話ではなく、かなり近い将来、日本にも訪れる価値観の葛藤を暗示しています。

少し社説を入れましたが、たとえばこういう線でエジプト情勢をとらえると、ぐんと近くなるかもしれません。別の見方をすれば、この情報は現在、中国政府の検閲にも関わらず一滴、一滴と中国本土の青年達に漏れ伝わっていることと思います。早くて春かな?などと勘ぐっています。

仮に中国で未だかつてない規模で民主化要求が、少数民族だけではなくメインストリームの漢族の若者(ネットユーザー)を中心に起こった場合、日本の政府・そして日本のマスコミはどう振る舞うでしょうか?2008年の北京五輪の時に福田政権およびメディアがどう振る舞ったかは記憶に新しい。

今まで通りの進路を惰性で進み続けた場合、中国における大規模な検閲は、そのまま日本国内におけるブラックアウト・大幅な検閲をも意味するのです。

グローバルな21世紀にはチュニジアやエジプトで起きていることがイエメンやサウジのみならず、英国や中国にも波紋をすぐに広げるようになりました。あっという間に来ます。「Wikileaks」もそこに表れた「加速器」のように振る舞っています。いいか悪いかではなく、そういう世の中なのです。

この「新世界無秩序=New World Disorder」に向き合う楽観と気合い。そんな「Groove」を皆さんといっしょに育てていきたいです!

-----以上、モーリーの社説でした。

Posted by i-morley : 19:56