エチオピアの現状に関するまとめ


反政府勢力の資金に=80年代エチオピア飢餓救援-英BBC時事通信

 1984~85年にエチオピアで起きた飢餓を救うため、世界中で集められた多額の募金の一部が反政府勢力の手に渡り、武器の購入資金になっていた、と英BBC放送(電子版)が4日までに伝えた。エチオピアの反政府勢力ティグレ人民解放戦線(TPLF)の元幹部らが証言した。
 約100万人が死亡した飢餓を受け、英国ではロック歌手ボブ・ゲルドフの呼び掛けでポール・マッカートニー、U2ら人気歌手が集まり「バンド・エイド」を結成、救援を呼び掛けた。
 当時のエチオピア政府は、北部エリトリア(93年独立)やTPLFを相手に戦闘を続けていた。


Gadaa:エチオピアがだんだんとすごいことに。1984年のLive Aid募金から流用された莫大な資金は武器調達だけではなく、英米の不動産購入、サウジのレストラン、スーダンの農場、商船の購入へと資金洗浄された、と当事者が証言。 http://snipr.com/urug9

Live Aid資金をもとに、今日エチオピアのあらゆるセクターを牛耳る巨大資本を当時の武装組織は作り上げ、現在は政権与党にもなっている、とのことです。100億円クラスがドロンとなってAK-47だけに化けたわけではなく、プロの「仕事」がなされたわけです。

Ogaden Info:エチオピア政府に圧迫を受けているソマリ系のオガデン地区からの意見。「BBCはたとえデータに誤差があったとしても、NGOに謝罪するべきではない。東アフリカの紛争地域で中立の情報を得ることは不可能だからだ」 http://snipr.com/urz9r

かつてボブ・ゲルドフ氏のLive AidやChrisitan Aidがスーダンから援助を行ったティグレ地区の組織TPLFは、すでに当時から政治的に対立する地区に対して援助が届かないようにすることを紛争の手段としていたようです。エチオピアのメンギスツ政権も同様の作戦を展開。

Live Aid疑惑が「黒」に傾く可能性を感じ始めています。エチオピアの現政権はTPLFのメンバーが主要ポストを押さえていますが、80年代にCIAのバックアップを受けながらマルクス主義政権と戦闘。ソ連崩壊後、援助を得られなくなった共産政権が敗走すると首都を奪還して独裁を開始。

メンギスツという、ソ連時代の独裁者はその後ジンバブエに逃れてムガベ大統領の顧問となったそうです。ムガベの行っているさまざまな圧政の原案はメンギスツが70年代から80年代に行った圧政の焼き直しだとの説も。メンギスツは「黒いスターリン」と呼ばれ、現エチオピア政府からは去年死刑判決。

一方、かつてCIAのバックアップを受けたTPLFは現在「テロとの戦い」で英米・EUから毎年莫大な資金援助を受けているらしいです。つまりかつては人道支援を流用、今はテロとの戦いの資金を堂々と運用。しかも、ソマリアのアル・シャハブという原理主義組織を「育てている」との指摘も。

TPLF系のエチオピア政府が迫害しているオガデン地区はソマリアに隣接。またエチオピアは2006年にソマリアに侵攻し、これがムスリムであるソマリア人の原理主義傾向を強め、アル・シャハブの支持基盤。つまりはからずもTPLF政府は隣国ソマリアのアルカイダに連帯する勢力を増長。

そしてアル・シャハブが勢いを増したタイミングで欧米に対してテロとの戦いへの強力を申し出、そこに何十億ドルが...TPLF系の現首相を「やり手」と呼んでさしつかえないと思います。こんな人たちに80年代のNGOやロック歌手たちはまんまと手玉に取られた可能性。

以上、少し端折って解説しました。エチオピアは今日も干ばつと飢餓に見舞われていて、その大部分が人災であるという見方があります。どれだけ外からお金を放り込んでも、それが末端の飢えている子供に届かない...というのは悲しいピクチャーです。これを乗り越える方法を作り出すのは相当に困難。

NGOであるOxfamのエチオピア・スーダン地区元代表が語るLive Aid疑惑。「紛争地域に汚さはつきもの。だがティグレ地区への支援はミッションを果たしたと思っている」 http://bit.ly/asli9R

abbay media:1984年当時、発足間もないTPLFは飢餓を「資源」として使うことに成功した。各国のNGOや外交官にアピールすることで株を上げ、資金を調達。食料を届ける役を買って出、エチオピア政府が通行を許したすきに攻撃。飢餓を長引かせることで自分たちの資金プールを拡張。

Live Aidを筆頭に、国際社会からの「何かしなければ!」という反射的な援助を流用し、「エチオピアのポル・ポト」とも呼ばれるTPLFの政権が可能になった、という矛盾。

エチオピアの人々は芸能人やNGOが自分たちの名誉を守るためにBBCと非難の応酬をしていることに冷ややかなようです。

TPLFは多民族国家のエチオピアでは少数民族。大多数のエチオピア人を少数者から成る政権が支配しているのは、ルワンダにおけるツチとフツの葛藤を連想させます。ただし、まったく同じではありません。

おまけ:現在ジンバブエに亡命しているメンギスツ(まだ存命)は、かつてジンバブエの政権が陥落した際には北朝鮮に逃げるプランを立てていたそうです。

Posted by i-morley : 06:29