移民受け入れに関して

昨夜の「アクセス」出演に際して多くのコメントが番組に寄せられました。こちらのリンクからご覧いただけます(注:新しい番組と共にリフレッシュされるかも)。

そして、移民受け入れを否定するブログ記事がおびただしい一方で、移民受け入れに肯定的な記事もいくつか見つけました。すぐに出てこないので、見つかったいくつかの記事リンクを掲載いたします。

移民受け入れ規制の緩和を提言 国連報告書「不利益より利益大きい」産経新聞・2009年)

「移民を拒んだ日本の活力は乏しい」
外国人労働者への過度な依存を抑制する方針へ転換したシンガポール(日経ビジネス・登録制)

日本も「移民問題」を真剣に考えようサーチナ記事

少子高齢化の暗雲をはね除ける移民1000万人構想Infoseek内憂外患記事

シンポジウム『移民1000万人受け入れ構想~日本型共生社会の可能性を探る』に参加した人のブログ記事

2008年に発表された日本経団連「人口減少に対応した経済社会のあり方」から

わが国はこれまで、専門的・技術的分野の高度人材の受入れを基本とし、また、国際協力の観点から、外国人研修・技能実習生の受入れも行ってきた。しかし、全世界的に人材獲得競争が激しくなっている中で、本格的なグローバル競争や、人口減少による影響に対応できる経済社会を構築するためには、わが国としても必要な人材を積極的に受け入れていくことが待ったなしの課題になっている。欧州先進諸国の例も参考にしつつ、高度人材に加え一定の資格や技能を有する人材を中心とする幅広い層の受入れ、さらにはその定住化を図っていくという観点から、内閣府に担当大臣を置き、関係省庁が一体となって施策に取り組む体制を整えるとともに、関連分野にまたがる法制面の整備などを含めた、総合的な「日本型移民政策」を本格的に検討していくことが求められる。

(a)高度人材の積極的受入れ
<中略>
(b)留学生の受入れ拡大
<中略>

(c)一定の資格・技能を持つ外国人材の受入れ
中長期的に経済社会システムを維持するという点や、すでに労働力不足に直面している産業分野が存在していることも鑑みれば、適切な管理の下、一定の資格や技能を有する外国人材の受入れを図っていくことが求められる。当面は、地域経済および国民生活の維持・強化の観点から、とくに労働力不足が予想される分野(製造業、建設業、運輸業、農林水産業、介護等)での技能を有する労働者を、労働需給テストの導入を前提として、在留資格の拡大、要件緩和等を通じ、積極的に受け入れていくことが必要である。例えば、看護師・介護士については、現在、経済連携協定のスキームを通じて部分的に受入れが進められている。しかし、医療や介護を必要とする高齢者が今後ますます増えていくことを考慮すると、経済連携協定の枠組みにとどまることなく、必要な人材を柔軟に受け入れることができるような制度設計を進めるべきである。

また、現在の外国人研修・技能実習制度は、国際協力の観点から、海外からの研修生・技能実習生への技術・技能移転を図っているが、今後は、対象となる技能の範囲をサービス産業分野も含め、拡大するとともに、より高い技能の修得、さらには人材の国内への定着など、同制度を抜本的に見直していくことで、わが国の経済社会に貢献できる人材を受け入れていくことが必要である。

なお、単純労働者の受入れについては、今回実施した欧州先進諸国における
現地調査でも明らかになったように、過去の移民政策の失敗によって生じた失業問題や、閉鎖的なコミュニティの形成等、様々な問題もあり、今後さらに議論を深めていくべき課題である。

③受け入れた外国人材の定着の推進
すでに就労している外国人材や、今後、受け入れていく外国人材の定着を図っていくという観点からは、外国人と日本人がともに、双方の文化・生活習慣の違いを理解しつつ、同じ地域社会の中で支障なく生活をしていくことが可能となるような環境づくりを進めていく必要がある。一方で、外国人は日本語能力が十分でないこと等から生じる地域社会との間の軋轢や摩擦、また、義務教育年限の外国人の子供の不就学、不安定な雇用等の問題も顕在化しつつある。

(a)地域・政府・企業における積極的対応の必要性
<中略>

(b)中長期的な外国人材の受入れ規模
中長期的な外国人の受入れ数について、いくつかの試算が出されている。仮に、現在の総人口の規模や生産年齢人口数を維持しようとすれば、相当規模の外国人の流入が必要になる。国連の試算では、2050年時点で総人口のピーク時(2005年)の水準を維持するために必要な外国人流入数は、累計で1,714万人(年平均38万人程度)と推計されている。また、経済産業省の試算でみても、生産年齢人口のピーク(1995年)を維持するためには、単純計算で2030年までに約1,800万人(年平均50万人程度)もの外国人を受け入れる必要が生じるとしている。

先に触れた「将来人口推計」では、2055年時点のわが国の総人口が8993万人と予測しているが、これは近年の外国人の流入規模(年間5~7万人程度の流入超過)が続くことを前提としており、2055年までの単純合計で360万人程度の外国人増加を織り込んでいる。しかし、わが国の外国人材の受入れ体制の整備や定住化のための社会統合政策が進まなければ、それだけの規模で外国人が増え続けることは期待できない。

また、仮にこれらの政策が功を奏し、「将来人口推計」通りになったとしても、経済社会システムの機能を安定的に維持していくための支え手の数が不足すると見込まれる。例えば、医療・介護において、現在と同水準のサービスを維持するために必要となる就業者数を試算すると、2055年時点で約180万の人材が不足することとなる。

いずれにしても、本格的な人口減少下において、持続的な経済成長を実現し、また経済社会システムが安定的に機能していくためには、年間で相当の規模の外国人材を積極的に受け入れ、定着を図っていかなければならない。外国人材の受入れや定着は、地域社会への直接的な影響や社会統合のためのコスト、外国人の人権に係る問題等を伴うため、国民的なコンセンサスの形成や、そのための制度の整備に時間を要する。国家的な議論を早急に開始し、わが国社会にとって相応しい総合的な外国人材受入れ制度を計画的に構築していくことが重要である。

※出典元のPDFファイルは38ページに上ります。




Posted by i-morley : 11:35