右脳で考える沖縄

今朝方はいろいろなニュースを元に分析的に考えてエッセイにまとめましたが、沖縄に向き合うにはもう一つの道があることも知りました。それは論理一辺倒ではなく、右脳の直感を通してです。要は沖縄のスピリットが「森上がる」道を探す方法です。

ツイッターで紹介をいただいた「茶館」という名前のお店を探しだし、開けるも閉めるもその時の流れに任せる店長のるんちゃんと話し込みました。沖縄のブクブク茶のお手元や沖縄語を伝えられる人の人数が減っているそうです。と同時に一部では復興の兆しも。今後は若い人たちの決定にかかっています。

そもそもなんで沖縄語や八重山語、奄美語、そして可能ならアイヌ語を存続させることが必要なのか?ひとつには祖先へとつながる記憶が途切れることの悲しさがあります。もう一つは、日本語全体の健康状態に欠かせないからです。

今の日本語・日本文化はグラニュー糖のように均質化と同質化が進んだ文化圏へと変貌しています。せちがらいです。黒糖とオーガニックの「がり」を入れることで日本語のパワーもアップします。ダーウィンの考え方を拝借するもよし、ファストフードへの危機感を言葉に投影するもよし、均質化を進めた政府の教育方針を批判するもよし。理論的なつじつまあわせは個々人におまかせしますが、とにかく直感的に日本のスピリットが今、危ないと感じています。そしてローカルに沖縄でもそれは地元の人たちがうっすらと、あるいは濃厚に感じている次第。

だったらスピリットを呼び覚ますような波が起きれば、間接的だけどパラダイムのシフトが起こって、すべての問題が解決するんじゃない?

西洋音楽と呼ばれる西ヨーロッパの楽曲は、共通で「平均律」という音階のチューニングで統一されています。このチューニングは実は人工的なもので、自然に発生する倍音を封印して鳴らすものですが、平均率を使うと多くの楽器を同時に鳴らすことや対位法と呼ばれる別々のメロディーを絡ませ合うことが容易な上、キーを変える転調も出来ます。この音楽の規則の体系をハーモニーと呼びます。西洋ハーモニーのシステムでは拍の頭を複雑にずらせる「シンコペーション」は敬遠され、均等に時間を刻む四分の四拍子の中でテーマとなる旋律が展開していくことが好まれます。

対して大航海時代以降に植民地にされていった世界中の部族や先住民が住む地域では、アフリカであれジャワであれ、そして琉球・日本であれ、楽器のチューニングは自然発生する倍音の扱いが異なります。倍音がもたらす共鳴音を抑えるのではなく、むしろ全面に引き出すように作られているのです。そのため、いろいろな楽器が一斉に同じ旋律を演奏することには向いていても、異なるメロディーが絡まり合う対位法や、曲全体のキーがシフトする転調には向いていません。また西洋の視点からは「民族音楽」と呼ばれるこれらの「非西洋音楽」では、同じメロディーを演奏する際に音階がずれたまま一緒に上り下りするという音楽の形態が一般的で、繰り返し=グルーブに重点が置かれます。多様な音階にチューニングされた楽器が「声明」のように一斉に上がったり下がったりする音楽形態はヘテロフォニーと呼ばれます。

西洋優位の世界観から見ると、ヘテロフォニーは平均率の楽器を作り出す科学技術を持たない未開の地域に残存する音楽形態であり、ミッショナリーがキリスト教を布教するように基礎から西洋音階をすり込んで、いずれは淘汰すべきものです。結論に飛ぶなら、日本政府が沖縄語や奄美語、アイヌ語に向けた視線とそれは同一です。近代的な西洋式の国家を作る上で、日本語・日本文化内部のヘテロフォニーは、いやがられたのです。西洋人に笑われないように、子供の頃から世紀の日本語を教え、土着の方言や変な言葉は忘れさせようとする政策が積極的にとられました。

で、今。日本列島みんなが落ち込んでいます。スピリットは下がっています。自分たちの大事なものをもう少しで根絶やしにしてしまい、海にひたすらコンクリートを流している。基地による海岸線の破壊も問題だけど、普通に「産業」とされる開発でどれだけ沖縄の海岸線は破壊されているのかにも目を向けたい。あまり大きな声で語ってはいけないらしいのだけど。

スピリットを上げましょう。なかなか変われない、時間を守れない、計画性がない、という沖縄人の欠点とされるものをエネルギーの源として、新たなグルーブを巻き起こしませんか?それは日本全体をも包むグルーブたりえます。ハローちゃんが外からやってきて言うのだから、まちがいない。

外からやってきた人たちが沖縄県民に「怒れ、アメリカを!怒れ、日本を!」とアジテートする。勝手にやっていれば、いい。ハローちゃんは「Raise the まぶやー!」とアジテートしたいね。

ところで、那覇市内にあるショッピングモールで新宿と同じ「アフタヌーン・ティー」を発見。スコーンを頼んでみたところ、味が違う。というか、ハローちゃんの味覚が違っている。1週間も沖縄の料理を中心に食べたので、味覚がシフトしてスコーンの手応えが感じられなくなったみたい...体の中でヘテロフォニーを感じる今日この頃ですよ。そんなことを言っていたら、夜の町で蚊に刺された。


【参考資料】
地球音楽ケーナ・スクール 講師ブログより
「民族楽器に多く含まれる、高周波倍音の効用」--->記事リンクへ

Posted by molitter : 23:30