ツイッター書き込みのまとめ

本日、思うところあって連続的にツイットを書き込んでおきました。たまたまJ-WAVEがこの日に坂本龍一氏の番組をUSTREAMで公開したこともあって、J-WAVEに関する記述が一人歩きしてRTされていたようです。そこで、まとまった読み物と再構築しておきます。

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☆BBC:中国人権活動家、成田空港に90日間寝泊まりの後、上海へ。中国のブログやツイッターを通じて支援者が絶え間なく追跡。帰宅するも「なお活動を続ける」。ツイッター+ブログ=最強の人権アクション・ツール。 -->記事へのリンク

☆ボリウッド・スターのシャールク・カーンのクリケットに関する発言がヒンドゥー原理主義団体の攻撃の的に。本人は冷静に言論の自由を主張。これはインドの映画業界では極めてめずらしいことです。 -->記事へのリンク

カーンの発言は動画としてBBCから配信されています。 いろいろな考え方が共存できるのが民主社会。自分が反対する考え方に出会ったら、まず相手の主張を一度は聞いてみたいものです。

言論の自由が非常に発達している欧米諸国では権力が言論を封じたり誘導したりする時には極めて巧妙な手段が用いられます。

ですが言論の自由が未発達な国では逮捕・暴力・社会的な制裁という手段が脊髄反射のように用いられます。

中国が人権活動家を扱う荒っぽさと、日本が大麻所持の容疑者を扱う稚拙さは、言論の先進国からは同じような次元に映ります。

たとえ最終的に大麻を完全に禁止、厳罰化を徹底するにしろ、すべての情報をつまびらかにした上で国民レベルの討議を行い、民意のバックアップを受けるという手続きを経る必要があります。

「悪いから悪い。それを悪くないという人間はけしからん」という議論は議論ではなく、言論を封じるための一種の暴力です。

女性がお見合い結婚をしないこと、同性愛者が手をつないで歩くこと、在日コリアンに参政権を与えるか否か、医療大麻を合法化するかどうか。どれも冷静に議論を得て国民が結論を出すべきです。

自民党右派、右翼団体、左翼団体、朝鮮総連、韓国民団、解放同盟、PETAなどの一部の組織に議論そのものを封じられることを許してしまうことは自分から言論の自由をわざわざ棄てることになります。

面倒であっても、一つ一つの視点をじっくり吟味し、いろいろな方向からの揺さぶりやプロパガンダを乗り越え、国民が納得するまで議論を継続すること。これが民主主義を育てます。コンビニエンスは、そこにないのです。

言論後進国のプロパガンダの定番の一つに、「先進国のメディアは我が国の考え方・制度・文化を侮辱している」というものがあります。ボイコットなどを呼びかけて間接的に反撃し、都合の悪い報道を止めさせようとするものです。

BBCがカーンの側に立ってインド国内のヒンドゥー原理主義者たちの行動を詳細に報道すると、都合が悪くなるのは原理主義団体。そこで素早く暴力に訴えてヒンドゥー対ムスリムの敵対感情に火をつけようとしています。同時にナショナリズムに訴えて欧米からの批判を交わそうという目論見。

これは北京五輪の聖火リレーに対する抗議をフランスが許容したことに対して中国の国内で一斉にカルフール・ボイコットが叫ばれたようなもの。幼い対応です。ただマーケットが大きいからフランス政府もそのプレッシャーに折れてしまうという現実がありました。

「モーリーさんは、なんで大麻擁護の側に立つのですか?」という、前提からして間違った質問が時々飛んできますが、これに対しても「双方の意見をよく読んでご自分で判断してください」としか答えていません。

大麻を議論することは、とても面倒なことです。地政学的な知識も求められ、賛成・反対ともに説得力を持つためのリサーチを要されます。子供は参加できない議論なのです。

また、法律を変更したり改正するときには、根強く組織的に抵抗する勢力が当然出てきます。政治的なロビー活動を通じて民意を骨抜きにすることも、よくある話。このプロセスの全部と付き合って初めて変化がもたらされるのです。

これまで積極的に医療大麻に関わらなかった理由は、一つにはJ-WAVEでそのテーマを扱うことが禁じられたこと。つまり解雇されるということです。J-WAVEを去った今、堂々と議論できる立場にあります。

補足すると、大麻に関する番組は1度だけ放送を許可されましたが、収録中に発言を削除して途中からやり直すなど、事実上の検閲はありました。「これ以上やると、この番組はなくなる」という警告を受けた次第です。

ですが躊躇した理由はもう一つあります。白黒はっきりと結論が出せないテーマなので、膨大なリサーチが必要になるからです。大麻で救われる人がいる一方で、大麻と他の麻薬の密輸が一体化しているために、貧困になる地域も世界にはあります。

賛成・反対の双方の観点から、弁護士にでもなったような気分で細かく、厳密な検証が必要となります。感情がわき起こるたびに、それを冷静なところに持って行く人格の強さが必要です。

厳密な議論を積み重ねた上で、なおも感情的・生理的にどうしても反対側の意見が受け入れられないというところまでたどり着いた時、反対側に立つ人と直接話し合う勇気が必要です。ヒンドゥー原理主義団体はこの対話の無さにつけこんで支持を広めています。

大麻に関して詳細な欧米基準のデータを共有し、議論を進めれば、民主社会として日本は最適な答えを出せるでしょう。合法化も「日本の風土に合わない」という結論のどちらも可能性があります。ただ、その議論のプロセスそのものを歓迎しない既得権を持つ人たちがいるということも自覚しましょう。

これまで日本の政治決定や制度改正のたびに、最終的にはうやむやな密室での決着が定番となっていました。なんとなくそれに国民が納得していました。どこかで得をしていたからです。ですが今日、医療大麻の議論を放棄することは国民の利益を損傷します。

大麻をしっかりと議論できるか。最終的に大人の妥協ができるか。これから日本が多様な社会へと成長できるか、つまり先進国であり続けられるかが、今問われているのです。

本来ならばマスコミがこの問題の核心に切り込んでいる立場にあります。クローン病患者の成田さんと麻薬取締局の担当者、それに有識者・一般人・アーチストがずらりと「日本の、これから」方式で生放送ディベートを行っている。これ、マスコミの基本です。

それができない理由は日本のマスコミの構造そのものの中に、おびただしくあります。これは日本のマスコミの構造悪です。反論できるマスコミの方は、ほぼゼロだと思います。そういうマスコミに、国民は存続してほしいと願うのでしょうか?

マスコミが「ぼくらだって本当はちゃんとやりたい。でもできないんです。わかってください。それではSMAPがお届けするソフトバンクのCMをどうぞ」と言ってしまった時、マスコミの既得権を持たない人はインターネットで独自に対話・議論・検証を進める以外にないのです。

大人の議論ができない人はマスコミの大本営発表を信じて、波風の立たない(ちょっと退屈な)人生を送っていただいていいんです。スポーツの祭典ではしゃいでいてください。大人の我々は、じっくりと医療大麻をこれから議論しますので。何か結論が出たら、後で教えてあげます。

USTREAMで日々、放送中。「大麻の、これから」--->成田さんのUSTへ

Posted by i-morley : 22:54