原宿の放送・終わりました

おかげさまで技術的な困難も乗り越えて原宿の路上放送は完了しました。ご覧いただいた皆さん、ありがとうございました。

モーリー「テレビがなぜ行き詰まったかを考えたい」
ヒマナイヌ代表「テレビと比較する必要はない。ユーストリームはまったく新しいものなのだから」

的なやりとりが番組中のどこかであったかと思いますので、この点を補足します。

☆USTREAMは素人でも参加できる画期的なテクノロジーであり、そのための専用スタジオをソフトバンク社が表参道のサテライトショップの中に、あるいは道の向こうの旧アメブロスタジオに建設するのは放送の歴史にも残る変曲点になるかもしれません。ただ、誰でも参加できる新たな「テレビ」が生まれ、ずっと流しているだけで楽しめるコンテンツや、見る人も作る人も同一線上に立った番組が数多くヒットする幼年期があったとして、半年ぐらい経った時点でどうやってUSTREAMをメディアとして運営していくかの判断が問われます。

ソフトバンク社は財団ではなく営利目的の企業なので、黒字を出さなくてはなりません。しかもグローバリズムが求めるのは、すぐに黒字を出すことです。素人が作る素人のための番組、放送業界を生業とする人たちの手を借りない、しがらみから解放された新媒体はどうやってお金を取るのか?株主からのこのクエスチョンに孫正義代表が晒される日は、それほど遠くありません。

媒体を使って短期で黒字を出すためのツボは出版・広告・電波の各メディアですでに黄金比率が出ています。アイドルを使い、芸人を出演させ、時にお色気、最後は子供と動物にすがる。アメブロスタジオが没落したのと同じ道がそこに待っています。

市民がアイデアを出し合い、その集合知の中から生まれるメディアがビジネスとしても成立し、テレビやラジオという「旧媒体」が届かなかったクオリティーと感動をもたらすには、確固たるビジネスモデルが必要です。ニコニコ動画の方式でプラチナ会員とゴールド会員を設けるのか、定期的にコマーシャルをはさむのか、または「市民主体」の番組にアサヒビールやアウディのスポンサーが付くのか?スポンサーのバナーやコマーシャルと内容がぶつかることを許容するのか?外国人参政権を討論できるのか?スタジオ前に駆けつけた街宣車の乗組員をスタジオの中へと呼び込めるのか?課題はたちまち山積みです。

テレビ・ラジオ・活字媒体は戦後60年間のスパンの中でこれらの課題にそれぞれ最適な答えを出し、黄金期を経て、今没落しています。まったく新しい媒体のユーストリームがこれらの旧媒体がたどった紆余曲折をそのままなぞらず、より理想的で民主的なメディアへと進化するには、ビジネスモデルごと進化するしかありません。そうしなければ番組をおもしろくするためにアイドルと芸人とお色気と子供と動物に頼らなくてはならず、スポンサーに気を遣って次第に中身のない番組を流す宿命から逃れられないからです。

みんなが参加して、みんなでただ、ただ楽しんでいる。村社会のいいところも満開で、お花畑の中でお花見をするのでいいじゃないか?2010年を最高の一年にしよう。これで、いいんです。ただ、そこで暗黙の了解でディレクター(もしかしたらジーニアスという肩書きになるのかもしれません)が「外国人参政権は荒れるからやめよう」と番組を自主検閲してしまうと...それはテレビというものに逆戻りしてしまいます。素人と市民記者が仕切ったテレビに。

mixiが陳腐化した道筋は、テレビがつまらなくなっていった道のりを短時間で再現したようなところがあったと思います。ユーストリームが陳腐化せず、ネットと放送の融合を果たすまでに急成長できるよう、参加者・賛同者のみなさんは最後まで当事者で居続けていただきたいと思っています。メディアを変えていくのは、君なんだ!

Posted by i-morley : 01:19