重大な発表


「EMB」終了に関して。



多くの皆様からご愛顧をいただいたJ-WAVE「Early Morley Bird」は、今年の12月をもって終了することとなりました。


私、モーリー・ロバートソンは1991年以来、足かけ18年間J-WAVE(81.3FM)に出演し、近年は「Early Morley Bird」を通じて世界の小難しい話題をわかりやすく暗号解読してきました。さまざまな遠征や独自取材も試み、2007年にはチベットやウイグルの地から現地レポートを届けることに成功し、今年は日本を縦断しながら五感で感じ取った日本の「今」をリアルタイムで語りました。豪快に飛ばしている最中ではありますが、来月をもって終演となります。


J-WAVEでの日々をふりかえると、無謀な実験の数々ばかりが思い出されます。シンセで勝負をしたこともあればリスナーから滝のように流れ込んだ即興ファックスで万葉集を編纂したこともあり、ラブ・キャンプで踊ったこともあれば空からモーリーを日中韓の三国に降らせたこともありました。21世紀に入ってからニュースを追いかけるようになり、外国人参政権についての発言で「2ちゃんねる」のスレッドを敵に回したこともあれば、メディアの主流に先駆けてウイグル問題やチベット問題に光を当てる特集を組んだこともありました。とにかく興味の赴くままに、心の奥底からの必要に迫られるがままに語り継ぎました。これらのおびただしい試みのうち半分は失敗に終わり、半分は誰かの意識を喚起できたものと自負しています。そして何よりも、これらのチャレンジを通じて私自身が変わっていきました。


私も変わりましたが、世の中も、放送業界を取り巻く状況も変わりました。今やラジオ+テレビは古典メディアとして「思い出」の引き出しへとしまわれつつあります。かつての黄金時代をもたらす外的要因は見あたらず、電波媒体が社会に提供できるひらめきもメリットも、日に日に萎縮しています。1991年に可能だった発言や表現が2009年に可能ではなくなっています。夢中になって視聴し続けられるコンテンツを電波メディアはもはや与えてくれません。ラジオという受信機から最近聞こえてくるのは、ため息ばかりです。


この長い年月、メールやメッセージ、ファックス、手紙、イベントやライブ、ワークショップへの参加などを通じて多くの方にフィードバックをいただき、そのひとつひとつが励みとなってまいりました。葉書やツイットのひとつであっても批判されたときには傷つき、考え、自分の中で納得するまで考え抜いて朝まで起きていたことが数知れずあります。また、ある番組で話していた内容が聴いていた人の心に何年も残っていたことを知ったときには、たとえようのない達成感と安堵感をも味わいました。ラジオで出来ることが年々狭まっていく中、独自に発信するネットのラジオも仲間達とともに育てました。このひとつひとつが今やしょうろう流しのように時間の川をゆっくりと流れ、遠のいています。線香花火が見えますか?空の上から…


私のJ-WAVEを舞台にしたパフォーマンスはあと5回となりました。精一杯愛情をこめて、声を届けたいと思っております。「EMB」の終了は、自分にとって新たな始まりでもあります。ポッドキャスト「i-morley」は近々リニューアルをし、さらなる超合金を身につけて皆さまにお届けするつもりです。これまでのご声援とフィードバックを本当にありがとうございました。そしてたらきゅうさんのひと言を最後に引用します。


「過去のことなんて関係ない!明日のことだけ考えていりゃ、いいんだよ!」

[i-morley]

Posted by i-morley : 21:57