ネット選挙戦到来? ヒラリー流戦術、対話にフル活用
【ロサンゼルス=松尾理也】2008年米大統領選に向け始動したヒラリー・クリントン上院議員(民主)が、テレビや新聞など既存のメディアを使わず、インターネットを出馬表明の場に選んだことが、話題を呼んでいる。27日にはアイオワ州入りし、いよいよ遊説を開始したクリントン氏だが、長く選挙戦の行方を左右する重要なメディアとして君臨してきたテレビに代わり、インターネットがその座につくかどうか。今回の選挙は、「ネット政治」の本格的な幕開けとなりそうだ。
ジョン・エドワーズ元上院議員、バラク・オバマ上院議員が相次いで大統領選への出馬表明を行った後、クリントン氏の出馬表明に全米のメディアの注目が集まっていた。しかしクリントン氏は結局、記者会見や集会などの従来の形ではなく、自らのウェブサイトを使い、ビデオ声明を流す形で20日、出馬表明を行った。
サイト上、赤いスーツ姿で登場したクリントン氏は「あなた(YOU)と会話を始める」と切り出した。米タイム誌が2006年の「今年の人」に選び、流行語ともなった「あなた」、つまりインターネットを介して発言し、行動を始めた個々の人々を強く意識したメッセージだった。
同氏は引き続いて3日連続で、支持者からの質問に答える「対話集会」をネット上で開催。さらに、「ヤフー・アンサーズ」(質問を投稿し、不特定多数からの回答を得るウェブサイト)に、同氏の長年のテーマである医療保険改革について「医療改革のために米国は何をしなければならないと思いますか」と投稿し、約3万7000件の回答を集めた。
AP通信によると、こうした一連の作戦で、すでに約15万人がウェブサイト経由で支持者として登録したという。
エドワーズ、オバマ両氏ももちろん、インターネットに出馬のメッセージを流すなど、ネットへの対応には気を配っている。しかし、クリントン氏の場合、思い切って従来のメディアへの対応を切りつめ、ネット最優先の姿勢を示す。
米紙ウォールストリート・ジャーナルはこうした戦略を、「大統領選での新たな、そして最も重要な戦場の一つ、“インターネット予備選”で成功を収めた」と評価している。
米歴代の指導者は、いかにメディアを制するかに多大な努力を払う。フランクリン・ルーズベルト大統領は、「炉辺談話」と題した毎週のラジオ演説で国民の支持を獲得、1960年のケネディ大統領の当選を決定づけたのはテレビ討論会の印象だった。米国政治におけるインターネット戦略は、1990年代末から始まったとされ、04年大統領選では、民主党予備選に立候補したハワード・ディーン元バーモント州知事が、ブログ活用やネット経由での資金集めで一時旋風を巻き起こしている。