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フランスの「i-morley」リスナーから
こんにちわモーリーさん。
フランスでも公開になったBorat見て参りました。
色々、思いつくことがありましたので駄文ではありますが、書き記してみました。
もし「日本語が変」などふくめて、ご感想いただけましたら大変光栄です。
是非よろしく願い申し上げます。
東京もそろそろ冬支度と聞いておりますが、ご自愛の上益々ご活躍ください!
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見事にはまった世界標準映画
公開以来、アメリカで大盛況な映画、Boratがいよいよフランスでも公開になった。
アメリカを子馬鹿にするのが国民的スポーツなフランスでも公開以来、初めての週末は満員御礼。みんなどれだけこの映画に期待をしているかが良く伝わってきたし実際、映画冒頭にカザクスタン国旗が現れただけで笑い出す人までいた。
公開前、ネットやテレビでトレーラーを見たときから感じたことだけど、映画はスキャンダルさを売りにしたわりにとても世界標準な出来栄え。Boratがカザク語でなくポーランド語を話している事の真相や、映画冒頭で出てくる村がルーマニアみたいなことが気になっていた。村を旅たつときBoratを乗せた車は、歴史的に社会主義時代からフランスルノー社と提携を持つルーマニア、ダチア製。村の様子も東ヨーロッパの現状を紹介したドキュメンタリーに出てくるルーマニアの村に良く似ていた。後から調べてみると、イギリスデイリーメール紙は冒頭の舞台はルーマニアのGlod村で一人3ポンドという微々たる報酬の見返りに不名誉な撮影に協力していたことを伝えていた(記事へ)。
何故ここまで現実とかけ離れたイメージをカザクスタンは勿論ルーマニアの名もない村人達のひんしゅくを買ってまで作りだす必要があったのだろうか?
これはひとえにメディアの意図に基づいて作られたイメージを疑問もさして持たず受け入れる観客側の問題かもしれない。そもそも、カザクスタン人について我々はどれだけしっているのか?冷戦終結時までソビエト連邦の一部をなしていた旧共産主義国、冬は長くて暗くて寒い北の国 —— ここ20年間に見聞きしたニュースと想像で思いつくこと以外あまりない。どんな人たちが住んでいてどんな歴史を持ち何を主産業にしているかなど知る由もない。これは我々日本人だけでなく大半の西ヨーロッパ人にしても同じだ。ポーランド、スロバキア以東に広がる世界など想像がつかないことを、映画冒頭で同じ欧州連合の住民である村人に対して無邪気に大爆笑しているフランス人観客が物語っていた。ルーマニアのような東欧国の低賃金は西欧産業の空洞化を生む元凶になっているし、東欧から性奴隷としてフランスに流れ込む売春婦は社会秩序を乱す危機としてこそ理解されていて、事実を知っていればそこまで大笑いできるネタではないはず。
こんな訳で映画館ではカザクスタン人が本当はどんな顔をしているのか大半の観客が知らないのだろうなと確信がもてた。本当のカザク人は西欧の観客にとって日本人、中国人とでも言ったら信じてしまうアジア人の顔をしている。Boratのオフィシャルサイトで紹介されているヨーロッパMTVミュージックアワードでカザクスタン大統領を扮するレーニン似のおじさんだが、本物の大統領は朝昇竜みたいな顔だった。
ここからわかる事はあくまでも印象としてのカザクスタンが映画にとって重要なのであって事実は二の次たということ。西欧にとってカザクスタンはトルコよりはるかに東に位置する中央アジアの国なのに旧ソ連の一国であるという事実だけで西欧から一番近い旧共産圏のルーマニアが、観客の想像に一番ぴったり来るわけだ。
結局のところ、アメリカ人の無知さを笑うのが醍醐味な映画なのだけど、それを笑う観客の無知さの方があぶりだされていた。もし、そんな仕掛けをサッシャ コーエンが意図的に盛り込んでいたら、とても質の高い映画と言う事だけど、ただイメージ第一で観客の期待に合わせて作り上げたのならば、それは世界標準的な商業マーケティングでしかない。そんな事を上演時間中ずっとBratの無邪気で下品な演技を見ながら考えさせられる内容だった。
☆興味深いレビューです。
引き続き、海外でこの映画をご覧になった方からのレビューをお待ちしています。
Posted by i-morley : 2006年11月19日 01:58
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