|
「自己責任」を問われる時代になってきましたが、グローバル経済においては、自己責任と規制緩和は共に進む傾向があります。また、かつて社会が伝統的に守ってきたさまざまな価値観がコストと利潤のバランスで合理的に割り切られることもしばしば。
そんな流れを受けているのか、オランダ・アムステルダム大学の研究チームが試算したところ、
「国がヘロイン依存の患者に直接ヘロインを手渡した方がその人達の社会復帰を助け、長期的には犯罪低下に貢献するので、社会のコストが低減される」
という結論が出ました。以下、BBCに載った記事です:
Heroin prescription 'cuts costs' --->原文を読む
There are strong reasons to support the practice of prescribing heroin to drug misusers, researchers claim.
A University of Amsterdam team says the treatment is cost-effective, even though it is expensive.
The British Medical Journal study found the cost to health services was offset by savings linked to crime reduction.
Supervised medical prescription of heroin - a class A drug in the UK - is controversial. UK experts said a range of treatments should be available.
あまりにジャンキー(ヘロインや阿片系の薬物に依存した人)が多すぎるので、いっそクスリときれいな注射針を与えてしまえば、せめて犯罪は犯さなくなるんじゃないのか?これはかねてからオランダやスイスなどの人道配慮国家が実験を重ねてきたところです。
今やイギリスのロンドンは、欧州のどの都市よりも人口増加が著しい、ダントツな国際都市。そこに活気をもたらしているのは、合法・非合法に流れ込む移民達です。この21世紀のハブ、イギリスの成長と多様化にともない、かつてないほど治安が乱れた地域が出現したり、ティーネイジャーの薬物乱用、未成年の妊娠と出産、麻薬カルテルによる拠点の拡大など、社会問題も発生しています。
ヘロイン・覚醒剤・エクスタシーをコントロールするためにはイギリスの警察は人員不足です。治安回復に集中すべく、最近では大麻(マリワナ)が薬物のランキングである「クラスB」から「クラスC」にまで引き下げられ、少量の大麻不法所持では罰金刑にしかならなくなりました。つまりティーネイジャー達に、政府はこう言っているのです:
「君たち、学生の本分は勉強だ。でもマリワナぐらいちょっと吸うんだったら、大目に見てあげるよ。ただし、売人になって他の物も一緒にさばいちゃだめだよ。」
これで中高生が品行方正になれば、万々歳。ところが
「マリワナぐらいだったら、いい」
と言われたティーネイジャーは、いったいどう考えるのか?大麻で止めておこうとする人もいるだろうし、全体に麻薬に対する刑罰が軽くなっているのだから、以前よりもリスキーなことをして儲けるぞ、という野心に燃える若者も出てくるはず。
これは対岸の遠い話ではないのです。実は日本国の「援助交際」現象も、セックス・売春・風俗へのタブーがここ20年で著しく低下(性行動も多様化)したため、売春する側・買春する側への刑罰摘要は全体として非常に「規制緩和」されています。今日本で
「国が未成年のセックスワーカー達を認定するライセンスを発行し、コンドームと無料の健康診断を提供すればいい」
と主張する人が出てきたなら、それは欧州の流れに近い主張となります。
しかもヘロイン使用の蔓延と未成年のセックスワーカー激増とは、最後は合流するのです:
その合流地点は南アフリカ・ボツワナの社会問題にもなっているHIV(ヒト免疫ウイルス)と、AIDS(後天性免疫不全症候群)です。
「どうせやるなら、登録制」
この、グローバルな合理化は成り立つでしょうか?
Posted by i-morley : 2005年06月05日 22:15
|